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コレクションの誕生、成長、変容 ―藝大美術館所蔵品選―

東京藝術大学大学美術館 展示室1・2
2009年7月4日(土)〜8月16日(日)
月曜日休館〔ただし7月20日(月・祝)は開館、7月21日(火)は閉館〕

第4章 平櫛田中の彫刻コレクション

 平櫛田中(ひらくしでんちゅう)は、昭和19(1944)年に数え年73歳で東京美術学校彫刻科の教授となった。
 昭和24年に東京美術学校と東京音楽学校が合併され、東京藝術大学が発足すると、田中は自作27点、および自身の彫刻コレクション106点を東京藝術大学に寄贈した。田中が長年手元においていた自作を含むこれらの作品は、本学の近代彫刻コレクション中で重要な位置を占めている。
 田中が収集した作品の制作年代を見ると、元禄時代の《白狐》(cat.no.140)に始まり、橋本平八、中原悌二郎、大内青圃、辻晋堂ら院展系の作家を中心に大正、昭和期の作品が揃う。新しいものでは、昭和24年、寄贈された年の作品までが含まれている。作品の素材、技法も、木彫をはじめ、ブロンズ、乾漆、陶、彩色木彫と様々である。
 田中自身は、東京美術学校の収蔵品に、明治から現代の彫刻が「甚だ乏しい」ため、学生へ参考に作品を供する上で不便を感じていたようである。自身のコレクションを離散させたくなかったという事情もあり、田中は美術学校へコレクションを寄付しようと決意した。それまで美術学校が収蔵してきた彫刻には存在しなかった部分を、自らのコレクションによって補完したのである。とはいえ、例えば、なぜ田中は熱心に《白狐》を求め、学校に寄贈したのだろうか?その1点1点の選択は、時に謎を秘めている。
 本章では、こうした田中の彫刻コレクションの中から、田中の初期作品を含む7点を厳選して紹介する。

134  横笛堂(さつきころ) 平櫛田中[1872-1979] 大正2年[1913]
Yokobue-do (The Nun, Yokobue), HIRAKUSHI Denchu
135 遠き思ひ 平櫛田中[1872-1979] 大正5年[1916]
Far in Thought, HIRAKUSHI Denchu
136 故橋本雅邦先生夫人寿像 平櫛田中[1872-1979] 昭和9年[1934]
Lifetime Statue of the Wife of Late Hashimoto Gaho, HIRAKUSHI Denchu
137 白狐 井村好兵衛 元禄11年[1698]
White Fox, IMURA Kobei
138 子守 橋本平八[1897-1935] 昭和3年[1928]
Baby Sitting, HASHIMOTO Heihachi
139 維摩詰 橋本平八[1897-1935] 昭和8年[1933]
Vimalakirti, HASHIMOTO Heihachi
140 夏のあした(平櫛先生古稀像) 辻晋堂[1910-1981] 昭和16年[1941]
Summer Morning (Hirakushi-sensei at the Age of Seventy), TSUJI Shindo
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